角一化成株式会社
〒564-0051
吹田市豊津町31-10
TEL 06-6380-3901
FAX 06-6380-3914
―角一化成さんの歴史を教えて下さい―
大正10年8月、当時のゴムメーカーの
角一ゴム(後、昭和40年にクラレプラスチックス㈱と改称)が、天然ゴムなどの原料の買付けと、主として自転車タイヤ、ゴムホースなどの製品販売を目的に製販分離し、合資会社角一商店として大阪市東区北浜で創業、同時に先々代の小島次男が無限責任代表総支配人として経営を任されました。その後、企業整備令により昭和15年に角一ゴムの傍系より分離、合資会社大阪角一商店として独立しました。戦時下、大阪の再々の大空襲で昭和20年5月、店は焼失しましたが、先々代は明治生まれの気骨と商魂で翌年の昭和21年8月には再建に着手し再設立、当時の南区鰻谷に店を構えました。昭和26年頃、取引のあった家電メーカーの洗濯機が普及し始め、昭和29年には絞り機付の新製品が量産されるや、ゴムロールと排水ホース納入で大変な活況となりました。それまでの、のんびりとした効率の良くない問屋商売からユーザー商売へと一変しました。昭和40年頃より、各大手企業に米国式の品質管理が導入され、単に物品の納入だけでは顧客の要望に応えられない状況となり、昭和42年に技術、品質管理を基盤としたゴム、プラスチックの加工・成形工場を設立しました。その後、プラスチックの需要拡大に伴い、昭和56年社名を角一化成に改称し、株式会社に改組しました。その後、第1次、第2次オイルショックなど幾多の試練、さらにバブル経済崩壊後の平成デフレを経て、日本を取り巻く経済環境は急激な変化のもとに変革と再生が求められる時代となりました。
そんな平成13年8月に私が三代目としてバトンを引き継ぎました。
―角一さんの社是、企業方針などお聞かせください―
経営理念は「幸せを素(もと)から創り出そう!」「幸せ」は社員の幸せ、次にお客様の幸せ(満足)です。「素(もと)」とは一からということで常に原点に戻り、謙虚な気持ちでチャレンジ精神を忘れない事です。
「創り出そう」は常に創意工夫をして行こうという意味です。
企業方針は、「マテリアルと新技術をコアとした企画提案会社として、お客様に喜ばれるオンリーワンの存在となること」です。
社是は創業以来「着実前進」で、浮利を追わず、一歩一歩内容充実を先行し、着実前進を旨とする、です。
―いま注力されている或いは今後注力しようと考えられている商品、または分野についてお聞かせください―
お客様のニーズにあった製品を供給するというユーザー商売の延長線上で必然的に我社はメーカー色を強化すると共に独自の技術を開発してきました。加工技術ではゴム
や樹脂のインサート成形、二色成形などの複合成形。ストラクチャーモールド、サンドイッチ、三色複合など1面の金型で1サイクルの成形工程で製品を製造する特殊成形などを得意としています。一方、マテリアルの分野ではネオジム系磁粉配合の磁束密度の高い屈曲性に優れたエラストマーシート磁石。本銀の光輝性と抗菌性をそなえたプラスチック配合用「銀マスターバッチ」など新材料の開発を行い、商品の差別化を図っています。企業の使命として「マテリアルアイデア創造業」を目指しています。現在は自動車を主とし、電力、家電、産業機器などが市場ですが、今後は福祉介護機器やアミューズメント、農業分野にも今以上に力を注ぎで行きたいし、いずれは医療の分野にも市場を拡大していければと考えています。
更に最近、3Dプリンタ、UVプリンタ、CAE(製品の特性を計算する解析システム)等を導入し、お客様のニーズにあった製品開発が行える体制づくりに取り組んでいます。このように製品を作る前段階の充実(スマートプロセス)をアピールし、これによりビジネスチャンスをつかむことが出来れば当社が目指すオンリーワンの存在に近づき、少なくともワンオブゼムではなくなると考えています。
―会社自慢、社員自慢をして下さい―
93年の社歴のなかで、時代の変化に合わせ事業内容を変えていったということでしょうか。社是「着実前進」にあるように、浮ついた考えや行動を慎み、本業から逸脱することなく歩み続けることで今の経営体質を築くことが出来たのだと思います。
また、昭和47年以降、40年間にわたって8回の優良申告法人の表彰を受けていることも自慢と言えるかも知れません。
―社長のご趣味をお聞かせください―
会長は、学生時代に進駐軍に接収された浜寺のビーチでヨットと巡り合い、今も現役のヨットマンです。私は、ゴルフ、ギター、映画鑑賞など多趣味といえば聞こえがいいかもしれませんが、これと言って人に自慢できるものがありません。ただ読書は好きで、学生の頃から哲学に関連した本はよく読みました。そして仕事に対する考え方も含め、その行き着いたところが稲盛和夫さんの「京セラフィロソフィ」です。今も「盛和塾」の塾生で学びと実践をめざしています。今の私の人生観や、会社経営の基本「角一フィロソフィ」の基礎にもなっています。趣味とは少し違うかも知れませんが、今私が一番情熱を注いでいるものといったら、これになります。
角一化成株式会社さんを訪ねて
今回は、小島社長のみならず先代の小島市郎会長も加わって下さり、先々代の創業時から現在の基盤を築かれた会長の時代を経て現社長が目指す会社の将来像に至るまで熱心に語っていただいた。会社の源流である角一護謨製造所の創業者が米穀商の一族であったことから枡の角に仕切りの一を社名にしたなど興味深い話だった。会長の実直であたたかいお人柄、社長の誠実で向上心あふれる姿勢に社歴93年の誇りと自信を垣間見た気がした。
今後、益々のご発展を祈念しております。(事務局 三島通弘)